青汁の起源とは？戦時下の知恵から、いまの習慣へつながる物語

青汁は「野菜不足を手軽に補う飲みもの」として知られていますが、はじまりはもっと切実な背景にありました。時代の制約のなかで生まれた工夫が、どのようにして現代の“続けやすい習慣”へとつながっていったのか。青汁の原点を、やさしくたどります。

青汁の原点は「足りない」を埋める発想だった

青汁の起源にはいくつかの語りがありますが、広く知られているのは戦時中の食糧難を背景にした誕生ストーリーです。栄養が偏りやすい状況で、身近にある「緑の葉」をどう生かすか——。その問いから、青汁の発想は形になっていきました。

1940年代前半、食べものが十分に手に入りにくい時代。そこで注目されたのが、これまで捨てられがちだった大根葉や芋の葉、野草などの“緑の葉”でした。「食べられるものを無駄なく活かす」という現実的な視点が、やがて“飲む”という発想へつながります。

起源として語られるエピソードの中では、医師の遠藤仁郎（にろう）博士が提唱した緑葉食の考え方と、それをより摂りやすい形にした“しぼり汁”が重要なポイントとして知られています。そして、その飲みものに「青汁（あおしる）」という名が付いた——と伝えられています。

葉野菜を“たくさん食べる”のは、意外と大変です。かさがあり、準備や咀嚼にも時間がかかります。そこで、葉をしぼって液体として取り入れるという方法は、当時としても合理的でした。いまの私たちが「続けやすさ」を重視するのと同じで、青汁は最初から“習慣化の工夫”を内側に持っていたとも言えます。

誕生当初の青汁は、いまのように「商品」として当たり前に並んでいたわけではありません。口コミや関心の広がりを経て、少しずつ生活の中へ入り、やがて“青汁を扱う企業”が登場します。

青汁は時代とともに、使われる素材のバリエーションが広がっていきました。代表的なものには、ケールや大麦若葉などがあります。素材の違いは、栄養設計だけでなく 風味・飲みやすさ・続けやすさにも関わります。

青汁の普及を語るうえで、テレビCMのフレーズは外せません。「まず〜い、もう一杯！」の印象は強烈でしたが、裏を返せばそれは、当時の青汁が素材の力をストレートに届けていた証でもあります。そして、そこから「もっと飲みやすく」「もっと続けやすく」という進化の方向が、より明確になっていきました。

青汁の原点は、特別な流行ではなく日々の食生活を見直すための知恵でした。現代は食べものが豊かになった一方で、忙しさや偏りによって「思ったより野菜が足りていない」と感じる人も少なくありません。だからこそ、起源の考え方は今も新鮮です。

青汁は、戦時下という厳しい環境で生まれた“工夫”から始まり、時代のニーズに合わせて素材や形を変えながら、現代の生活にも根づいてきました。その根っこにあるのは、いつの時代も同じ——食生活を少しでも整えたいという願いです。

※本記事は、青汁の歴史に関する公開情報をもとに一般的な背景を整理したものです。特定の効果効能を断定するものではありません。